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統合医療

高濃度ビタミンC点滴療法(IVC)

高濃度ビタミンC点滴療法とは? 高濃度ビタミンC点滴療法は1976年にノーベル化学賞と平和賞を受賞したボーリング博士によって「末期進行がんの患者(200人)に点滴とサプリメントでビタミンCを投与すると、生存期間が対照群(2000人)の4.2倍から6倍延長する」と発表された治療法です。

2005年にはアメリカ国立衛生研究所(NIH)、アメリカ国立癌研究所(NCI)、アメリカ食品医薬局(FDA)の研究者が共同で「薬理学的高濃度のアスコルビン酸(ビタミンC)は選択的に癌細胞を殺す<組織に過酸化水素を運ぶプロドラッグとして>」という論文をアメリカ科学アカデミー紀要(PNAS)に発表しました。

ヒトの医療では高濃度ビタミンC点滴療法の研究がアメリカ、カナダ、日本、デンマークなどでされており、臨床の現場では多くの癌患者さんに対する治療効果が確認されています。

日本における動物への高濃度ビタミンC点滴療法はまだ始まったばかりですが、ヒトの医療において安全かつ効果的に癌患者のQOLを改善する事が実証されていることから、癌に対する補完療法の1つとして積極的に導入していくべき治療の一種となると考えております。

高濃度ビタミンC点滴療法(IVC) ギャラリー

高濃度ビタミンC点滴製剤
高濃度ビタミンC点滴製剤
G6PD活性検査
G6PD活性検査
高濃度ビタミンC点滴療法中
静脈留置部位を温めながらのIVC実施中
高濃度ビタミンC点滴療法認定医証
高濃度ビタミンC点滴療法認定医証
リポカプセルビタミンC
リポカプセルビタミンC
コメント

・高濃度ビタミンC点滴療法(IVC)の癌に対する作用機序

IVCにより癌細胞周囲に過酸化水素水を生成し、癌細胞内に取り込まれることによりアポトーシスなどの細胞死を誘導する

新生血管の増殖抑制

低酸素誘導因子(HIF)の発現を抑制

癌細胞をコラーゲン被膜で閉じ込める

IVCはαリポ酸やビタミンK3の癌細胞障害作用を増強する

 

・高濃度ビタミンC点滴療法(IVC)の適応(注意点;有効な標準治療を優先させます)

標準治療が無効である

標準治療の効果をより確実にする

良好な体調を維持しながら寛解期を延長させる

化学療法、放射線療法の副作用を軽減する

QOLの改善

手術前・術後の補助療法として

標準治療を拒否し、代替療法による治療を希望する

 

・高濃度ビタミンC点滴療法(IVC)の禁忌・・・G6PD欠損(低下)症、高度の腎不全・透析中、活動型心不全

 

・高濃度ビタミンC点滴療法(IVC)の慎重投与・・・胸水貯留、腹水貯留、リンパ浮腫、頭蓋内腫瘍、肥満細胞腫

 

・高濃度ビタミンC点滴療法(IVC)を行うに当たって

まず適切な基礎検査として血液生化学検査、X線検査、超音波検査、病理検査などが必要です。腫瘍の種類や進行度によってはCTやMRIなども必要になります。現病歴、既往歴などを調べたうえで、副作用や治療法に対する過敏反応を確認します。

伴性劣性遺伝であるG6PD欠損症の動物に対してIVCを行うと急性溶血性発作を起こすため、点滴治療前に必ずG6PD検査が必要となります。アメリカの報告では3300頭に1頭の割合と報告されています。

IVCに使用するビタミンC製剤は国内のものは防腐剤が入っているため使用できないので、海外から防腐剤の入っていないビタミンC製剤を輸入して使用します。これは国内製品をIVCで治療する濃度まで混ぜ合わせて調剤すると防腐剤の濃度も比例して増えてしまうため、アナフィラキシーショックの原因となるからです。

また非常に副作用が少ない治療法ですが、稀に合併症が起きる場合がありますので、飼い主さんにIVC療法の合併症と対策をご説明して納得していただいた上で治療開始となります。

 

・高濃度ビタミンC点滴療法(IVC)の合併症

❶G6PD欠損症に伴う溶血性クリーゼ

❷腫瘍壊死・出血

❸吐気、嘔吐、頭痛

❹低Ca血症によるテタニー

❺打撲等既往部位の内出血

❻血管痛

❼低血糖

 

・補完代替医療(CAM)のひとつとしての高濃度ビタミンC点滴療法(IVC

IVC療法の効果は抗癌作用の他に、強い還元力により活性酸素の消去能力を持ち、皮膚や骨に多く存在するコラーゲンの重合をサポートすることにより慢性皮膚疾患や骨粗鬆症などの治療に応用されたり、ストレス反応の中心的役割を果たすアドレナリンの合成を助けたり、小腸などで鉄の吸収を促進したり、免疫力を増強することにより感染症予防作用があります。

最も大事なのはその動物に合った標準治療であり、その標準治療を行うに当たってQOLの向上と副作用の軽減を目的としてIVCを併用して行います。ヒトの医療では手術・化学療法・放射線療法など標準治療や、オゾン療法や温熱療法などの補完医療とIVCを併用することにより、患者さんのQOLを60%以上改善する事がデータで示されています。また一般状態や基礎疾患、年齢により標準治療の適応ができなかったり、飼い主さんが痛く辛い思いはさせたくないという気持ちから代替治療としてIVCを行う事で、動物のQOLを維持向上させる目的で行う選択肢のひとつにもなると思います。

犬や猫に対するIVCはまだ始まったばかりです。IVCによる合併症の発現は稀であるとされていますが、いきなり高濃度のICVから始めるのではなく徐々に濃度を上げていき、対症動物の一般状態・QOL・血中ビタミンC濃度を測定しつつ適正濃度を決めていきます。